受け答えをする前に

~言葉の使い方~

​1.正しい言葉を使う

 私たちは相談に応えるのに、通常言葉を用います。ですから言葉の持つ役割と正しい使い方を考慮することは、相談に応えるにあたってとても大切なことです。

 言葉の持つ役割とはいったい何でしょうか。ここでは自分以外の人間に対して発する言葉に限定して考えますが、それは、対象を自分の望むように行動させることです。ですから、言葉を発する際には、自分が相手に何を望んでいるかを理解しておくことが重要です。相手に臨むことを自分が理解していないと、次にお伝えする正しい言葉の使い方ができません。

 正しく言葉を使うとはどういうことでしょうか。正しいというのは、目的がかなうようにするということです。つまり正しく言葉を使うということは、自分の目的が達成できるような言葉かけを行うということです。

 友人と会話をするときに、目上の人に対して使うような言葉を使う人はいないと思います。友人と会話をする目的を楽しむことだとすれば、その状況において敬語は適していないからです。逆もまたしかりということはわかっていただけると思います。

 では例えば、自分の子どもに勉強をさせたいときにはどのような言葉を使うのが正しいでしょうか。「早く勉強しなさい」でしょうか。「勉強したら遊びに行っていいよ」でしょうか。それとも「お母さんのために勉強して」でしょうか。残念ながら、すべての子どもに対して効果を発揮する魔法の言葉はありません。ある言葉がAくんを勉強させる効果があったとしても、Bちゃんは勉強しないかもしれません。一人一人の子どもに合った言葉を、その場その場で見つける必要があります。

 すなわち、正しい言葉というのは相手により状況により変化します。このことは言葉を扱ううえで最も基本的なことですので、忘れないようにしてください。

 相談に応える方法を考えていきましょうというとき、よくある質問が「自分はあまり多くの言葉を知らない(語彙が少ない)んですがどうすればいいですか」というものです。語彙力は、もちろんあるに越したことはないですが、何のために必要かというと、相手に寄り添うという目的を達成するためです。語彙が豊富だと相手に寄り添う方法をたくさん持っていることになりますが、語彙に振り回されて相手の気持ちから離れてしまうこともあります。大切なのは自分が使える言葉の中から、相手にピッタリの言葉を見つけることです。そして相手にピッタリの言葉は多くの場合、相手が使った言葉に近いものです。ですので、使える言葉を増やそうと考えるよりもまず、相手がどのような言葉を使っているかを注意深く観察することが重要です。

 相談に応える際には、常に自分の言葉が正しいかどうかを意識して、相手にピッタリの言葉を見つけるようにしましょう。

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