受け答えをする前に

~言葉の使い方~

​3.感情に振り回されない

 言葉を使ううえで覚えておくべきことの一つが、感情に振り回されない、ということです。

これは、よく言われるような、感情を抑える、あるいは感情を否定する、といったこととは違います。人間は心を持った生き物なので、感情をもつことはごく自然な事です。自然なことは肯定する、それが自由自在塾の基本の考えです。

感情に振り回されないとは、心が感じる感情と自分の行動を区別するということです。言葉を伴う感情の例として、怒りを挙げてみます。誰かに対して怒りを感じた時、私たちは怒りの感情のままに言葉を発したり行動をしたりすることもできるし、怒りを表現しない言葉や行動をとることもできます。大切なのは、怒りを感じないことではなく、怒りを行動で表現しないこともできる、ということを自覚することです。

 あなたの周りの寛容な人を思い浮かべてみてください。あなたは、どうしてその人を寛容だと思ったのでしょうか。その人が怒ったところを見たことがないからではないでしょうか。そう、私たちは、他人の感情を、その人の言動から推測します。あなたの思い浮かべた寛容な人は、怒らないのではありません。怒りの感情を言動に結びつけていないだけです。もしかしたらその人は、怒りという感情を感じないための特別な訓練をしたのかもしれませんが、そういった特別な訓練をするより、怒りを感じて声を荒らげたくなった時に、別の行動の選択肢もあるということを思い出す方が、簡単にできるのではないでしょうか。

 もう一度言いますが、感じることは人間の心の自然な働きです。ですから無理に抑えつける必要はありません。ただ、その感情のままに行動することが今は適切でないとあなたが判断したなら、感情を表現できるタイミングが訪れるまで、大切にとっておくこともできる、ということです。怒りで言えば、周囲に人がいるときに感情のままに行動することは、多くの場合マイナスにしかなりません。周囲に人がいないことを確認してから表現することで、マイナスを避けることができます。

 感情のままに行動することもできるし、感情に従わずに行動することもできる。このことを知っておくことが大切なのです。

© 2017 taido takamine